文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」平成22年度〜26年度

ENGLISH

動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成

領域概要【期待される学術貢献・社会への貢献】

本領域「動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成」は、個性的な研究者の有機的な結集で成り立ちます、そして、連携してこその新しい「知」、すなわち「場が細胞のゆらぎを生かし役立てつつ拘束を与えることで秩序がもたらされるしくみ」を明らかにします。

この「新しい知・新しい概念」は、 本領域の班員がそれぞれに対象とする系における謎を解明するということを越えて、より広く、さまざまな学術分野に対する波及する可能性があります。すなわち、正常なあるいは病的な細胞の営みの原理を求める研究者が細胞の行動に対してこれまでに抱いてきた印象や細胞行動のメカニズムを探るための研究方針を大きく変えうるインパクトを持つと考えます。かつて陽子と電子しか知られていなかった頃に、中性子、そして中間子などが順次加えられたことで人類の知が新たなステップへと進んだ訳ですが、私たちが扱う細胞の世界にも、まだまだ加えられるべき基本原理、すなわち物理という学問における素粒子にも匹敵するような、重大なしくみ、があろうと思われます。そうした「これまで気付かれることのなかった原理・しくみ」があるならぜひ明かさねばなりませんが、本領域は、そうした未知の原理のひとつとして「動く細胞と秩序」の関係性を問い、明かす、という訳です。さまざまな研究手法の進歩と分野・階層をまたぐ連携を通じてそれを問いうるという時期が、今、まさに訪れたという訳なのです。

出口・波及

各種幹細胞やガン細胞の「挙動コントロール」というバイオメディカルな応用にとっても、細胞がもしそうした「これまで考えられたことのない知恵・戦略」を持つならばそれを熟知しておくということはきわめて重要で、その点での波及効果も期待できます。

さらに、抽出された 生物・細胞の「知恵」 が、数理解析を仲立ちに、車、群衆、情報などの上手な動かし方(混雑の回避など)・まとめ方のヒントとなって社会に貢献するという可能性もあります。

Copyright ©2010 文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成」