「拓く。」クイズ 解答 物理学科
Q1: 右
地球は北極上空から眺めると反時計回りに回転しています。これは例えば、日本が夜明けを迎えるとき、日本より西の国ではまだ夜明け前であることからわかります。さて、北極の上で滑らかな氷の上を滑るストーンは、慣性の法則に従い恒星に対して等速直線運動を行います。しかし、ストーンの投げ手と地球上に固定されている標的は地球の自転と一緒に回転していますから、ストーンは右へ逸れていくように見えます。したがって、右が正解。実は、北極点から少し離れた場所から北極点をめがけてストーンを投げた場合も、ストーンは右へ逸れていくように見えます。なぜだか考えてみましょう。
力学では、物体の速度の変化が生じる時には物体に力がはたらいていると考えます。ストーンが右へ逸れて行くのは、実際に力がはたらいているためではなく、それを見る投げ手の方が回転しているため、投げ手の立場から見ると逸れていくように見えるだけなのですが、投げ手(つまり、地球上にいる私たち)の立場で考えた方が便利な場合が多いため、この見かけの速度の変化の原因となる見かけの力がはたらいていると考えます。遠心力も、地球などの回転に起因する見かけの力の一種ですが、ストーンの逸れのように、物体が動いている時だけはたらくように見える力のことをコリオリの力と呼びます。これは地球の自転を示したフーコーの振り子の実験でも有名で、身近な例では台風などの衛星写真で雲が渦を巻いているのを見かけますが、そのもととなる力です。また、南半球では左側に逸れるように運動することになります。
Q2: (C)
今、40m先に置かれたストーンをめがけて投げたとします。このとき地球が自転していなければ、ストーンは正面から衝突します。しかし、地球は自転しているのでストーンが40mだけ運動する間に、的となったストーンは移動することになります。この量を計算してみましょう。
地球は1日で1回転しますから、40m先の的になったストーンは、投げ手の位置を中心にして1日で2×40×π=251mの円周上を一回りすることになります。一方、投げ手の投げたストーンは40m先に到達するまでに20秒かかりますから、この間に的のストーンが円周上をどれだけ動くかを計算すれば良いわけです。つまり、
となり、約6cmずれる事がわかります。だから正解は(C)。
実際には、カーリングの選手はゲームが開催される場所におけるずれの量を試合前の練習によって修正するのだと思われますが、バンクーバーで日本のカーリングチームが見せたようなきわどいショットは、このようなずれの量をも修正して、さらにぎりぎりに投げることができるという高い能力を示したものだと言えるでしょう。
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