公募研究
若松義雄
東北大学大学院医学系研究科
〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1
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E-mail: wakasama@med.tohoku.ac.jp
研究室ホームページ:http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~nishiwaki/
<略歴>
1988年:名古屋大学理学部卒、1992年:名古屋大学大学院理学研究科分子生物学専攻後期課程終了(理学博士)、1993-1994年:大阪大学細胞生体工学センター研究員、1994-1999年:米国オレゴン大学神経科学研究所にてポスドク(日本学術振興会特別研究員、日本学術振興会海外特別研究員、研究員、James Weston研究室)、1999年より現職、東北大学大学院医学系研究科講師。
<研究課題>
A02 「耳プラコード発生におけるユニークな上皮内細胞動態の解析」
<研究計画>
脊椎動物の頭部感覚器官の原基であるプラコードは外胚葉性上皮の一部である前プラコード領域に由来し、周囲の組織からの誘導シグナルによって様々なプラコードに分化する。トリ胚の耳プラコードの発生過程においてNotchリガンドであるDelta1を発現する細胞が最初分散して現れ、その後集合して耳プラコードを形成する可能性が示唆された。一般的に上皮組織では細胞同士が強く接着しており、基底膜に包まれているために細胞移動は大きく制限されている。にも関わらず、Delta1発現細胞が上皮内を移動/集合しているとすると、他に類を見ない細胞の移動動態がみられる可能性が期待できる。本研究では、予定耳プラコード領域の細胞の動態やDelta1発現細胞の動きをタイムラプス観察するとともに、移動/集合に関わる分子メカニズムを明かにすることを目標としている。
抗Delta1抗体でライブ染色したトリ胚の予定耳プラコード領域(左画像)と、予想されるDelta1発現細胞の上皮内移動様式(右図)。一部のDelta1発現細胞同士が上皮apical側表面に伸ばした突起で接触していることから、この突起を利用してお互いに引き寄せ合っている可能性が考えられる。
<代表的論文>
1. Wakamatsu Y, Sakai D, Suzuki T, Osumi N. FilaminB is required for the directed localization of cell-cell adhesion molecules in embryonic epithelial development. Developmental Dynamics 240, 1639-1649 (2011).
2. Wakamatsu Y, Nakamura N, Lee JA, Cole GJ, Osumi N. Transitin, a nestin-like intermediate filament protein, mediates cortical localization and lateral transport of Numb in mitotic avian neuroepithelial cells. Development 134, 2425-2433 (2007).
3. Endo Y, Osumi N, Wakamatsu Y. Bimodal functions of Nocth-medioated signaling are involved in neural crest formation during avian ectoderm development. Development 1129, 863-873 (2002).
4. Wakamatsu Y, Maynard TM, Weston JA. Fate determination of neural crest cells by NOTCH-mediated lateral inhibition and asymmetrical cell division during gangliogenesis. Development 127, 2811-2821 (2000).
5. Wakamatsu Y, Maynard TM, Jones SU, Weston JA. NUMB localizes in the basal cortex of mitotic avian neuroepithelial cells and modulates neuronal differentiation by binding to NOTCH-1. Neuron 23, 71-81 (1999).