研究内容Research
田中研究室について
私たちの研究室では、真核生物の染色体機能・細胞周期・エピジェネティクスに関する研究を行っています。特に「SUMO翻訳後修飾機構による染色体機能制御」、「ゲノム安定維持チェックポイント機構」、および「RNA干渉(RNAi)機構」に関する研究を中心課題としています。実験手法として分子生物学・生化学・遺伝学的手法を駆使しています。研究材料として、主として分裂酵母(S. pombe)やゼニゴケなど、遺伝学的解析に秀でたモデル生物を用いています。 これらの研究により、普遍的な真理の解明を行うと同時に、がん予防への創薬やストレス耐性植物の作出等の応用研究への発展も視野に入れています。
上記の目標を達成するために、本研究室では元気で知的好奇心に満ちた大学院生を募集しております。関心を持っていただける方は、本学の大学院入試募集要項を参考にしてください。本学の大学院修士・博士課程は、TA/RA制度が他大学大学院に比べ極めて充実していることも特徴です。
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http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/ja/modules/g-admissions3/
1.SUMO翻訳後修飾機構による染色体機能制御
真核生物がタンパク質機能の多様性を得るために獲得した翻訳後修飾のメカニズムは、多様な細胞機能制御に重要な役割を果たしていることがわかってきました。その中でユビキチンに類似したSUMO分子のバラエティーに富んだ働きが現在注目を集めています。そこで、分裂酵母とゼニゴケをモデル生物として、SUMO翻訳後修飾が染色体機能や植物成長にどのように関与するかを研究しています。
2.ゲノム安定維持チェックポイント機構
分裂酵母をモデル生物として、ゲノム安定維持とDNA複製チェックポイントの関連について研究しています。ゲノムの不安定化は細胞のがん化の最大要因で、本テーマはがん化防止ための基盤研究としての価値が注目されています。また、これまでの基礎的な研究成果を生かして、抗がん活性を示す化合物のスクリーニングも開始しています。
3. RNA干渉(RNAi)機構
私たちの持つ染色体の遺伝子発現制御は、DNA配列に依存する転写因子による制御と、エピジェネティクスと呼ばれるDNA配列に依存しない制御機構によって制御されています。遺伝子発現が常に抑えられている染色体の領域はヘテロクロマチンと呼ばれ、正確な染色体分配や染色体の安定性に働いています。私達はヒトに似た染色体構造を持つ分裂酵母を用いて、ヘテロクロマチン領域で見られるRNA干渉(RNAi)機構が共役するヒストンのメチル基による修飾機構を解析しています。
他大学等との共同研究
京都大学(白川研)、北海道大学(村上研)、名古屋市立大(中山研)、国立遺伝学研究所(鐘巻研)、Illinois University (Chicago, USA)、The Scripps Research Institute (San Diego, USA)、Drexcel University (Philadelphia, USA)など
研究室出身者の主な就職先
教育機関:高校教員、中学教員
企業:ライオン、UHA味覚糖、大塚製薬、大鵬薬品、中外製薬、カネボウ
関連学会
日本分子生物学会、日本農芸化学会、日本生化学会、植物生理学会、酵母遺伝学フォーラム、SUMO研究会、染色体ワークショップ、核ダイナミクス研究会、等