MaximaとRで分子進化

YangのテキストComputational Molecular Evolution (Oxford University Press 2006, 邦訳「分子系統学への統計的アプローチ」 藤、加藤、大安 訳 共立出版 2009)の翻訳の過程や、その後そのテキストを使った勉強会で、MaximaとRを使って式の導出や図の再現を試みました。これはその備忘録です。

MaximaとR

いずれもフリーソフトです。Maximaは数式処理、Rは統計解析のための言語ですが、数値計算、グラフィクスなど機能が充実しています。また、Linux, Mac, Windowsなど様々なOSで利用できます。MaximaもRも、その導入や利用方法については、ウェッブ上に多くの有用な情報がありますので、ここでは簡単にまとめておきます。まず、この二つのソフトを導入しましょう。

1. Maximaの導入について

Maximaは、そのままでも利用できますが、wxMaximaを導入した方が見易いと思います。私はMacユーザなので、MaximaとwxMaximaはhomebrewで導入しました。homebrewの導入(特にproxyが設定されている環境下について)は、こちらのページをご覧ください。

以下はhomebrewでのmaximaのターミナルでのインストールのコマンド(黄色の部分)です。wxMaximaではgnuplotが使用されるので、gnuplotもインストールしておきましょう。gnuplotのインストール前に、Mac OSXのgraphics terminalであるAquaTermをインストールしておく必要があります。

brew install gnuplot --with-aquaterm
... 中略 ...
brew install maxima
... 中略 ...
brew install wxmaxima
... 中略 ...
When you start wxMaxima the first time, set the path to Maxima
(e.g. /usr/local/bin/maxima) in the Preferences.

Enable gnuplot functionality by setting the following variables
in ~/.maxima/maxima-init.mac:
  gnuplot_command:"/usr/local/bin/gnuplot"$
  draw_command:"/usr/local/bin/gnuplot"$

.app bundles were installed.
Run `brew linkapps wxmaxima` to symlink these to /Applications.
==> Summary
ð  /usr/local/Cellar/wxmaxima/15.08.2: 152 files, 15.2M

wxmaximaのinstallの際に上記のメッセージが出るので、その通りに処理しておきましょう。また、図がうまく作成できない場合はログインディレクトリに作成されている.maximaの中のmaxima-init.macの中をいじる必要があります。以下参考のために私のmaxima-init.macを書いておきますが、自身のインストールの状況に応じて書き換えてください。


  gnuplot_command:"/usr/local/bin/gnuplot";
  draw_command:"/usr/local/bin/gnuplot";
  maxima_tempdir:"/Users/toh";
  temp_dir:"/Users/toh";

  gnuplot_command:"/Applications/Gnuplot.app/Contents/Resources/bin/gnuplot"$
  set_plot_option([gnuplot_term, qt])$

homebrewを使ったmaximaの導入について説明しましたが、maximaのサイトからダウンロードしたdmgファイルでインストールした方が楽かもしれません。 maxima, wxmaxima, gnuplotがセットでインストールできます。インストール先はアプリケーションフォルダになります。maxima-init.macの書き換えなどは必要ですが、必要な処理はreadmeファイルに書かれています。homebrewでインストールしてしまってうまくいかなかった場合は、brew uninstall アプリケーション名でgnuplot, maxima, wxmaximaをアンインストールしてから、maximaのサイトからダウンロードしたものをインストールしてください。

2. Rの導入について

RはCRANから直接導入しています。proxy環境下でのRの利用のための設定については、こちらのページをご覧ください。

3. Maximaの起動と終了の処理

Macユーザ用の説明となっていますが、他のOSでも同様に利用可能だと思います。

homebrewでwxMaximaがインストールできていれば、アプリケーションフォルダにwxMaximaのアイコンができています。このアイコンをダブルクリックすれば、wxMaximaのウインドウが起動します。ターミナルを開いて、wxMaximaあるいはwxmaximaとタイプし、リターンキーを叩いても、起動することができます。頻繁に利用する可能性がある場合はDOCKに追加しておくと便利です。

終了する場合は、メニューバーのwxmaximsのプルダウンメニューから"Quit Wxmaxima"を選択すると終了できます。ウィンドウ上部左端の終了ボタンのクリックでもwxMaximaのウィンドウは閉じますが、ターミナルから起動した場合はターミナル上は起動したままなのでコントロールキーとcのキーを同時に押してターミナル上も終了させる必要があります。

4. Rの起動と終了の処理

Rも、インストール処理が正しくできていれば、アプリケーションフォルダにRのアイコンができています。これをダブルクリックすれば、Rのコンソール画面が立ち上がります。Rも頻繁に使用する場合はDOCKに追加しておいた方が便利です。また、ターミナルを開いて、Rとタイプし、リターンキーを押すと、ターミナル画面が、そのままRのコンソールになります。終了はquit()とタイプし、リターンキーを押してください。



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