最近の研究成果

ベイポクロミック錯体の新展開:機能や構造の協同現象レビュー

J. Photochem. Photobiol. C 2022, 51, 100477.  

2022年01月06日

ベイポクロミズム研究の最新動向をまとめたレビュー論文を発表しました。蒸気応答して色や発光色の変化を示すとともに、伝導性や磁性などとの物性と連動した系や単結晶ー結晶相転移が起こる系など興味深い系を紹介しています。本論文を含めて一連のレビュー論文が、Journal of Photochemistry & Photobiology C: Photochemistry Reviews誌に「ソフトクリスタル特集号」として組まれました。

集積発光性白金(II)錯体における蒸気誘起結晶化挙動の超高解像度顕微鏡観察

J. Phys. Chem. C 2021, 125, 21055−21061

2021年9月17日

メタノール蒸気に応答して明瞭な赤色発光を示す集積発光性白金(II)錯体、[Pt(CN)2(H2dcbpy)] (H2dcbpy = 4,4’-dicarboxy-2,2’-bipyridine)におけるベイポクロミック挙動を、超高解像度顕微鏡で詳細に観察することに成功しました。これは、東京大学生産技術研究所の石井和之教授との共同研究です。蒸気に応答して、アモルファス状態から蒸気分子の侵入により表面から内部へと結晶転移する様子が、発光を追跡することにより明らかになりました。

白金間距離の精密制御による幅広い3MMLCT発光色制御

Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59, 18723–18730.

2020年7月14日

N-ヘテロ環状カルベン(NHC)を有する中性白金(II)錯体に対し、置換基の嵩高さを系統的に変化させることで結晶中での白金間距離の精密制御に成功しました。この精密制御と適切なπ系を持つ配位子の選択により3MMLCT発光としては珍しい黄緑色発光に加え青色の3MMLCT発光を初めて実現し、その結晶構造と発光特性の温度依存性から発光特性を詳細に検討しました。同一の分子骨格を維持したまま強発光性と幅広い発光色制御が可能であることを示した今回の結果は、3MMLCT発光の優位性を再認識させる結果です。