研究内容 > X線散乱実験 > 実験方法
~What's X-ray~
波長が10~0.01ナノメートル程度の電磁波(光)の総称。1895年にレントゲンにより発見され、未知の線という意味でX線と命名された(X線の発見によりレントゲンには1901年第1回ノーベル物理学賞が与えられた)。物質に対する透過能力・電離作用・写真感光作用・化学作用・生理作用などの性質を利用して、レントゲン写真や蛍光X線分析などに利用されてきたが、X線は原子・分子を回折格子や散乱体としての干渉・回折現象も起こすため、原子レベルでの結晶構造の精密決定にも用いられている。特に1990年代後半以降に建設された第三世代シンクロトロン放射光施設(X線専用加速器)では非常に強力で干渉性の高いX線が得られるため、応用分野の飛躍的な拡大が続けられている。
X線回折法(XRD)
X線ビームを結晶に照射し回折させることで結晶構造を推定する手法。
原子や分子が周期的に配列している結晶以外にも、ランダムな非晶質・液体などの構造解析にも利用することができる。
CTR散乱
結晶表面における周期性の欠如により生じる微弱な線状の散乱。強度分布が結晶の表面構造に敏感に依存するため、表面層、表面ラフネス、表面緩和などの精密決定に用いられる。
反射率(XR)
X線による全反射現象を利用して物質、特に多層膜構造の電子密度、膜厚、界面ラフネスなどの定量的な評価ができる。
透過型反射率(TXR)
第三世代放射光の高エネルギーX線を利用して埋もれた界面の構造情報を得る手法。界面垂直方向の電子密度、膜厚、ラフネスの評価が可能である。