関西学院大学 理工学部 化学科
〒669-1337 兵庫県三田市学園2-1
HP管理者が当時研究室配属のときに気になったこと、また現在になってこれは言っておいたほうがよいと思ったことをてきとうに書いてみました。必ずしもすべてが正しいというわけではないので、鵜呑みにしないでね。
それぞれのテーマによって異なりますが、まず試料を自分で合成するのか、他の研究室、企業からもらうのかで大きく変わってきます。HPの写真のような半導体量子ドットを例にすると、以下のような実験計画が挙げられます。
@ 試料合成:フラスコ、ピペットなどを使って反応溶液を調製し、濃度、pH、加熱温度などを考慮しながら溶液を反応させてナノ粒子を合成する。いかにもって感じの試料合成ですが、文献の合成法を参考したり玉井研究室に蓄積されたノウハウを活用すれば、それ程難しくはないと思います。
A どんな試料ができているかの確認:ナノメートルサイズの試料の基本的な光物性を調べるために、試料の吸収、発光スペクトルを測定します。また、大きさや形状の評価には電子顕微鏡と呼ばれる装置を使って、実際に合成したナノ粒子を観察します。電子顕微鏡は池田市にある産業技術総合研究所にあるものを使用させていただいています。大学院生になれば数億円もする電子顕微鏡を自分で扱うこともできます。
B レーザー分光:@、Aができて初めてレーザーや顕微鏡を使った実験、つまり一般的に物理化学っぽい実験をすることができます。
C データ解析: レーザー分光や、吸収・発光スペクトルの測定結果をパソコンで解析し、先生との議論や過去の文献を調べることで実験結果に対する解釈を導き出します。
僕自身玉井研で一番よかった、おもしろいと思うものは「光とナノテクノロジーの複合領域」の研究をしているところだと思います。21世紀は光の時代と言われており、国をあげて光を駆使した研究が盛んに行われています。また、ナノテクノロジーはいわずと知れた現代の科学技術を支える重要な分野です。これらによって培った経験、知識は直接的に使うことがなくとも、社会に出てから新しい出来事を理解し、作り上げる上で重要な基礎知識となると思います。大きな部分ではこのことが一番玉井研でよかったと思う部分です。それ以外には以下のこともあげられます。
・ものづくりと測定、解析のおもしろさを両方味わえる。
・たくさんの装置にふれる事ができる。
月曜日 | 朝10時からミーティング。ここでは先生の予定や、学生の先週の結果と今週の実験計画などを簡単に報告します。その後、研究室の掃除を行います。午後からは実験や解析を行います。 |
火曜日 | 実験や解析など |
水曜日 | 実験や解析など |
木曜日 | 朝10時から雑誌会(論文紹介)。1週間に1人、担当の人が自分の研究に関する論文を研究室のメンバーに紹介します。その後、報告会で2人の学生が1カ月の実験結果を発表します。午後からは実験や解析。 |
金曜日 | 4回生は外書購読。ここでは4回生と先生で物理化学に関する英語の教科書を読んで和訳します。午後からは実験や解析。 |
土日祝 | 休み |
報告会や雑誌会、外書購読の曜日に関しては、その年によって変更はあります。
4月初め | 研究室スタート |
4月初旬 | お花見 |
4月下旬 | 研究テーマ決定 |
5~6月 | ハイキング and 飲み会 |
6月頃 | 玉井先生宅でホームパーティ |
7月 | 院試休み |
8月初め | 大学院入学試験 |
8月初旬 | 中間報告会 and 飲み会 |
9月初旬~中旬 | 光化学討論会、分子科学討論会、応用物理学会 (大学院生が中心、実験の進行具合によっては4回生でも参加可能) |
12月下旬 | 期末報告会 and 飲み会 |
2月中旬 | 卒業研究発表、修士論文発表 and 飲み会 |
3月下旬 | 日本化学会春季年会、応用物理学会春季年会 (就職する学生は参加しないことが多い) |
これらの他にも大学院生になれば海外での国際学会(過去にはイタリア、フランス、ベルギー、シンガポール、韓国、ハワイなどで開催)に参加することも可能です。さらに、ソフトボール大会にも毎年参加しているので、ソフトボールの練習も不定期に行っています。他には、研究室のメンバーの誕生日会や鍋パーティーなども行うことがあります。
大学卒業後、大学院に進学するか企業に就職するかがほとんどですが、最近はうれしいことに少し大学院に進学する学生のほうが割合的に多いです。しかし、ある年は半分以上が学部で就職していたりもしていたので、一概には言えず、その年の学生の傾向や景気に大きく左右されているっぽいです。就活において学部卒の場合、ほとんどの場合研究内容を加味されることはありません。よって就職先は僕が知っている中ではNTTドコモ、旭化成ホームズ、マツダ(技術)、インテリジェンス(採用)、りそな銀行(事務)、市役所、教員、ちゃんと(飲食)など、様々です。しかし、研究職はどうも研究内容と事業内容の関係の有無とは別に大学院生のほうが優遇されていることは確かなようです。
大学院卒業後は主に化学、家電系の企業に就職することが多く、大きなところでは東京エレクトロン、日本板硝子、日本電産、パナソニック、デンソー、シャープ、ディスコ、カネカ、日東電工、宇部興産、関西ペイント、関西学院大学中等部の教員などに就職しています。関学大学院生の就職率は他大学と比べて比較的よいように思います。