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MIRISによる星間ダスト散乱光の観測

佐野研究員や松浦教授らが韓国の衛星搭載赤外線望遠鏡MIRISにより銀河系内の星間ダストを 可視近赤外線で観測した結果がPASJ(Publications of the Astronomical Society of Japan) に掲載されました。

これは、2017年の報道発表 と同様に星間ダストの光散乱(DGL: Diffuse Galactic Light)を観測することでダストの サイズや散乱特性を調べたものです。これにより、近年の赤外線の星間減光の観測結果を説明 するために提案された大きなサイズのダスト仮説を検証しました。3枚の図は、MIRISにより 近赤外線で観測した星間ダストによる光散乱とIRASとCOBEにより波長の長い遠赤外線で観測 した星間ダストの熱放射の強度分布をカラー図で示したもので、両者がたいへん良く一致して いることを示しています。

この観測は元々は「暗黒星雲法」と呼ばれる銀河系外からの背景放射が銀河系内にあるダスト雲 で掩蔽されることを利用する背景放射の観測手法をはじめて衛星観測で試みるものでしたが、 今回は星間ダストの研究成果について出版しました。暗黒星雲法は黄道光の差し引き精度に よらない背景放射の観測が可能となるものであり、今回の観測で手法の有効性も確かめられました。