学生実験
ここでは,本学科の主要科目であり,学生の研究能力を養うことを目的に最新設備を整え開設された学生実験について、まとめて紹介してみます。
学生実験の概要
学生実験は1年度の秋から始まり、3年度の最後まで続きます。3年間の実習を終えた学生は、先端生命科学に必要な技術と知識の基礎を身につけることが出来ます。充実した設備とスタッフが、高度な内容の実習を支えています。これを行うには、十分な予算と大学の全面的なサポートが必要です。私学の学費は高いですが、関西学院大学生命科学科にはそれに勝る充実した教育環境が用意されています。
生命科学入門実験 -生化学/培養学/組織細胞学
1年生では実験の準備に必要な基礎技術と現在の先端バイオ研究対象であるいくつかのモデル生物の取り扱いを学びます。
生命分子・生化学実験、細胞・組織学実験 -生体高分子学/細胞組織学-
2年生になるとDNAやタンパク質などの生体高分子を取り扱う先端技術と細胞の働きをダイレクトに観察、解析するための先端技術を身につけます。
先端生命科学実験 -分子細胞生物学/生命分子工学-
3年生になると生命科学科8つの研究室のそれぞれの研究テーマに沿ったモデル的な実験を一年間を通して実習します。3年生の実験に入る段階ではすでに高度な基礎技術がある程度身についており、先端バイオテクノロジー実験では実験の戦略を自分たちで練りながら実習を進めることが出来ます。4年生になって卒業研究を始める前までに、遺伝子のクローニング、PCR、配列決定、タンパク質の解析など、生命科学の専門家としての技術的基礎を身につけることが出来るように学生実験はデザインされており、極めて高い習得効果を発揮しています。
スタッフ・学生の声
スタッフの声 -受験生の皆さんへ
本学生命科学科の学生実験は、補佐として、大学院生が手取り足取り教えてくれる制度がしっかりと確立していることも特色です。これは欧米ではTA制度と言って、当たり前のことになっていますが、関学には全く遜色ない制度があるのです。
スタッフの雰囲気も最高です。お会いできることを楽しみにしています。がんばってください。また、夏休みには中高生向けに、オープンラボを開催しています。奮ってご参加ください。
学生の声 -学生実験を体験して-
「学生実験は非常によく計画されていて、スタッフの準備も万全でした。1~2年生のころはむしろベルトコンベアーに乗せられているような感じで実験がどんどん進められていったので、ちょっと不安がありましたが、3年生の先端バイオ実験からは自分で考える時間を与えられ、この時になって初めて一度体験していた1~2年の実験を自分でつなぎかえて実験を計画することを体験しました。研究に本格的にかかわるようになってから初めて効果が実感できる学生実験です。」(山敷 亮介さん)
「最初は失敗ばっかりで、落ち込みました。その都度、実験スタッフの暖かい助言がありがたかったです。また、教学補佐の先輩方も指導をしてくれるので、学生実験に参加するだけで、学科のいろいろなことがわかりました。4年生になってから3年間の学生実験には必要なほとんどすべての技術が盛り込まれていたことに改めて気づかされました。」(仲 麻衣子さん)
カリキュラム詳細
1年度秋 ライフサイエンス入門実験 -生化学/培養学/組織細胞学-
- 生命科学のための基礎実験
- 精密天秤の精度検定
- タンパク質の定量
- 有機酸の中和滴定
- 微生物増殖まで
- 滅菌操作
- 微生物の死滅曲線の作成
- 微生物の増殖の測定
- 自然界からの微生物の分離
- シロイヌナズナからプロトプラストまで
- 培地プレートの作製
- 無菌植物の作製
- 高等および下等植物の観察
- シロイヌナズナカルスの形成と再分化
- プロトプラストの作製と細胞融合
- 動物個体の観察と細胞の構造
- 染色体の観察
- ラットの解剖と血液塗抹標本の作製
- パラフィン切片のHE染色
2年度春 生命分子操作
- タンパク質の精製と機能解析及び大腸菌を用いたタンパク質の大量発現
- 細胞分画と酵素活性
- アクリルアミドゲル電気泳動法
- マウスの解剖及び細胞分画
- 酵素反応速度論
- 組み換えタンパク質の発現と精製
- コンピーテントセルの調製と形質転換
- GFPの誘導発現
- 植物光環境応答の分子生物学
- 高等植物からのRNAとタンパク質の抽出
- タンパク質と核酸の電気泳動
- 光合成色素の抽出、分離、分析
- RT-PCRによる光合成色素結合タンパク質mRNAの定量
2年度秋 細胞組織操作
- 形態・機能実験法
- パラフィン標本作製
- インターネットを用いたシークエンス解析
- 動物細胞培養
- 細胞培養の基礎技術
- ギャップ結合細胞間コミュニケーションの観察
- フレンド細胞の分化誘導実験
- 免疫実験法
- 免疫および校血清の作製
- 免疫および校血清の作製
- ELISA法による抗体価測定
- ウエスタンブロッティング法
- 発生と組織形成
- カエルの人工授精と観察
- マイクロインジェクション法の習得
- 蛍光標識法による受精卵の発生過程の分子観察
3年度 先端バイオテクノロジー実験
- 春学期 先端バイオテクノロジー実験Ⅰ
- 培養細胞を用いた分子生物学
- 動物細胞の細胞接着活性
- WISHによるカエル発生過程遺伝子発現の解析
- 生体の環境物質認識機構の解析
- 秋学期 先端バイオテクノロジー実験II
- 海洋性珪藻環境応答機構解明のための分子生物学モデルの構築
- 酵母の細胞周期の分析
- 大腸菌βガラクトシダーゼの誘導およびARMS法によるADH遺伝子の検出
- 植物細胞の形質転換