関西学院大学 理工学部 化学科 山田英俊研究室 ホームページ Keansei Gakuin Univ., School of Science and Technology, Yamada Group
トップタイトル

Menu ––––––––––
icon of news   icon of members   icon of research   icon of locaton   icon of English   icon of KG   icon of kg_sci   icon of kg_chem



Papers ––––––––––
最近の論文


こちらを御覧ください。


Sugar chem ––––––––––
立体配座を固定してグリコシル化反応を極める


糖と糖,あるいはアルコールをつなぐO-グリコシル化反応は,糖鎖や糖タンパク質など,糖を含む化合物の化学的供給に不可欠な反応の一つである。このO-グリコシル化反応の重要な課題の一つにアノマー位での立体化学の制御がある。特に天然物に広く存在する,D-グルコースを基本単位とするβ-O-グルコシド結合の立体選択的構築は,糖の化学における最も基本的な課題である。現在,その化学的構築法として,隣接基関与法が最も普及している(Figure 1)。


Figure 1. Neighboring group participation in O-glycosylation

 この方法でβ選択性が発現するのは,糖供与体の脱離基が取れて発生するオキソカルベニウムイオンに対して,糖の2位水酸基上のエステル基がα面から攻撃してできるアセトオキソニウムイオン中間体が生成することによって,アルコールがα面から接近することを妨げるからである。しかし,この方法は2位にアシル基を導入できる場合だけに有効であり,最終の脱保護段階にアグリコンが耐える保証がないと利用できない。一方,脱保護の方法が異なるベンジル基などのエーテル系保護基を2位に導入すると(Figure 2),β選択性発現の根拠が無くなってしまい,実際,アノマー混合物を与えることが多い。


Figure 2. Glycosylation without Neighboring group participation

 この問題を克服するため,反応溶媒,脱離基,活性化剤の精密な組み合わせによる制御でβ選択性を出す様々な方法が報告されてきた。しかし,エーテル系保護基を導入したグルコース誘導体を用いた反応では,一般的には選択性の切れが悪い。従って,隣接基関与以外の新しい立体制御法に基づき,かつ,どのようなアルコールとでも完全なβ選択性で進行する反応の開発が,強く望まれている。当研究室では,糖の立体配座を固定することによって,グリコシル化反応における立体選択性を制御しようと試みている。


Our paper ––––––––––
β-グリコシル化のアキシアル・リッチ糖供与体,フッ化 3,6-O-(オルトキシリレン)グルコピラノシルの合成


以前,完全なβ-選択性を出すグリコシル化反応を報告したのですが,その反応に用いる糖供与体,フッ化 2,4-ジ-O-ベンジル-3,6-O-(オルトキシリレン)-グルコピラノシルの合成効率が良くありませんでした。本論文では,改良した合成経路を報告しています。また,1,2,4-オルトアセチルグルコースへの3,6-架橋構築や,1,2,4-オルトアセチルグルコースの合成法改善も併せて報告しています。さらに,グルコースの3,6位を架橋したら,フラノース体が安定型になる新発見も加えました。発見したこの性質は,ピラノース体が欲しい私達の合成には大問題となりました。しかし,「熱グリコシル化」という方法でこの問題を解決し,表題化合物の改良合成法を完成させました。この改良法では,修飾しやすい合成中間体を新たに経由するようになったため,多くの類縁体も合成しやすくなり,アキシアル・リッチ糖の応用拡大に貢献しそうです。


朝倉典明・本山敦之・内野拓耶・谷川康太郎・山田英俊

→論文はJournal of the Organic Chemistryのホームページからダウンロードしてご覧ください。
Chem-Stationで紹介して頂きました。「関節技」なのだそうです。


Our paper ––––––––––
3,6-O-(オルトキシリレン)架橋したアキシアル・リッチなフッ化グルコシルを用いた完全β-選択的グリコシル化反応


隣接基関与法を用いずに完全なβ-選択性を実現するグリコシル化反応を本論文で発表しました。D-グルコピラノースの3位と6位のヒドロキシ基をオルトキシリレン基で架橋し,立体配座をアキシアル・リッチに固定した糖供与体の設計が新しく,フッ化糖としたこのアキシアル・リッチ糖をSnCl2−AgB(C6F5)4が触媒して完全β-選択的グリコシル化反応を実現しました。この反応は,グリコシル化段階と異性化段階を経て進行するという機構も,併せて報告しています。この反応機構は,酸性あるいは塩基性のモレキュラーシーブの性質を駆使して解明しました。完全なβ-選択性は,アキシアル・リッチに固定された立体配座と,反応中に生じる触媒HB(C6F5)4によるβ体に収束する異性化との相乗効果によって実現されています。


岡田康則・朝倉典昭・坂東真郁・足利是貴・山田英俊

→論文はJournal of the American Chemical Societyのホームページからダウンロードしてご覧ください。


Menu ––––––––––
icon of news   icon of members   icon of research   icon of locaton


Ellagitannin ––––––––––
エラジタンニンの全合成

 エラジタンニンは天然に存在する加水分解性タンニンの一種である。酸や酵素による加水分解で,多価アルコールと共にエラーグ酸を生じる事が名称の由来である(Fig. 1)。加水分解で生じるエラーグ酸はヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)基由来であるため,エラジタンニンの基本構造はD-グルコースのヒドロキシ基をHHDP基が架橋した構造であると言える。生合成では,ペンタガロイル-β-グルコース上のガロイル基が酸化的カップリングしてHHDP基が生じると考えられている。このカップリングの位置によって,グルコース部分の立体配座が決まる。


Figure 1. Biosynthesis of ellagitannins

 既に千を超える天然エラジタンニンが構造決定されている多様性は,このHHDP基の架橋位置や架橋の数に加え,過剰酸化や修飾,ピラノースの開環,オリゴマー化,フラボノイド等他成分との連結などによって,もたらされている(Fig. 2)。


Figure 2. Structural diversity of ellagitannins

 自然界には,多くのエラジタンニンが複雑に混ざって存在するため,単離に手間がかかる上,入手できる量は一般的に少ない。また,規則的に構造を変えた一連の類縁体を得ることが難しい。エラジタンニンには抗酸化作用など多様な生物活性が報告されており,様々な疾患の予防などへの応用が期待される。そのため,化学合成による供給法の確立が望まれている。当研究室では,この複雑な化合物群エラジタンニン類を,自在に網羅的に合成できる方法の確立を目指した研究を行っている。


Our paper ––––––––––
セルシジニンAの全合成


 エラジタンニンの一つ、セルシジニンAを全合成しました。合成は、グルコース上の二つのガロイル基を分子内カップリングする経路でも、予め用意したヘキサヒドロキシジフェノイル基をグルコースにダブルエステル化する経路でも、どちらでも可能でした。この全合成によって、天然物セルシジニンAの構造を確認することができました。また、グルコースの3,4位酸素をヘキサヒドロキシジフェノイル基が架橋したタイプのエラジタンニン合成は初めてです。この全合成を達成するまでに二つの問題がありました。一つは、β-グルコースをフルにガロイル化すると、3,4位でのヘキサヒドロキシジフェノイル基形成ができないこと、もう一つは、これまで一般的に使ってきたフェノール部分を全部ベンジル化したガロイル基は、この合成では使えないことでした。本論文には、この二つの問題の解決方法も述べられています。この合成で得たノウハウは、より複雑なエラジタンニンを合成する経路を考察するときに役立ちそうです。


山田英俊・大原憲也・小倉旅人

→論文はEuropean Journal of Organic Chemistryのホームページからダウンロードしてご覧ください。


Menu ––––––––––
icon of news   icon of members   icon of research   icon of locaton   icon of English   icon of KG   icon of kg_sci   icon of kg_chem