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研究概要

研究室のテーマ

物質における反応・機能のダイナミックスとその量子制御です。研究手段として世界最高性能を誇る第三世代大型放射光施設"SPring-8"の強力なX線の利用を中心にして研究を展開しています。
物質の物性や機能発現の機構を解明し、その知見に基づいて新奇物質創製に繋げていくことは物質科学研究の醍醐味です。物質は超伝導や磁性、誘電性など多種多様な性質を示します。これらの性質は全て量子力学によって状態が規定されている電子が担っています。
すなわち、物質を制するには、その性質を決めている1023個の電子の集合体の振る舞いを調べ、それを量子力学の言葉で理解することが必要です。そのためには物質の構造と電子状態を知ることが必須です。ここで登場するのが放射光X線です。前者はX線回折・散乱法によって、後者はX線分光法によって直接それらの情報を得ることができ、特に強力な放射光X線を利用すれば、「生きた物質・材料」を観ることができます。
すなわち、物質や材料が物性・機能を発揮している状態(励起状態)をそのまま観察することができ、原子構造や電子励起状態が実空間、実時間、あるいは運動量空間、エネルギー空間で観えてきます。これまで隠されていた世界のベールが剥がされてきます。
一つ例をあげましょう。室温の超伝導体が発見されればエネルギー革命です。現在の最高超伝導転移温度は銅酸化物の160Kで、室温にはまだまだですが、我々が行った共鳴非弾性X線散乱という放射光を使った新しい観測手法で超伝導を担っている電子がどのような相互作用をして動いているのかが徐々に分かってきました。図はその電子の観測されたエネルギー・運動量空間での振る舞いを示したものです。 関学着任前まで(独)日本原子力研究開発機構(JAEA)に15年間所属し、SPring-8の建設とそれを利用した物質科学の研究に携わってきました。JAEAでは4本の専用ビームラインを利用して回折・散乱法と分光法による超伝導、触媒、半導体非平衡結晶成長、電池電極反応などを研究してきました 今後もこれらの研究を続けていくとともに、放射光X線の新しい利用のキーワードである「コヒーレンス」を利用した揺らぎ・ダイナミックスの研究も展開していきます。 「新しい革袋」には「新しい葡萄酒」が必要です。活きのいい、好奇心旺盛な皆さん、新しい葡萄酒になりませんか!そして一緒に新しい研究室を作っていきましょう!

現在の研究

  • 共鳴非弾性X線散乱法を用いた超伝導体の研究
  • X線吸収分光法(XAFS法)による触媒の局所構造の研究
  • コヒーレントX線散乱による強誘電体の揺らぎ,ダイナミックスの研究
  • 電気界面における放射光反射率測定による研究