研究内容

アフィン代数幾何学とは

(複素)アフィン空間を代数的,幾何的両面から研究する学問です.n次元アフィン空間は,その各点がn個の座標の組で表される空間です. 1次元なら直線,2次元なら平面となります.代数の言葉でいうと,(複素数係数の)多項式環(1次元なら1変数多項式環,2次元なら2変数多項式環)の研究をする学問です. こんなsimpleな空間の何を研究するのか、と思われる方もいるかもしれません.しかし,1次元の場合はともかく,3次元以上のアフィン空間についてはほとんどわかっていないといってもいいくらいなのです. たとえば,2次元の場合を考えてみましょう. ここにある代数曲面Xがあって,smooth, かつ可縮であったとしましょう. さてXはアフィン平面といえるでしょうか?この問いに答えるには,smooth (あるいは可縮)な曲面の性質(分類)を知っていなければなりません. このような2次元アフィン曲面の特徴づけが得られたのは,1980年代後半,宮西正宜‐杉江徹,飯高茂, 藤田隆夫といった方々の結果によってでした. 3次元アフィン空間の特徴づけについては,現在いくつか知られているもののまだ十分とはいえません.4次元以上のアフィン空間については,まだまったくです.

私は,群の作用という観点からアフィン代数多様体の研究をしています. たとえば,アフィン平面ならば その上に加法群(複素数全体を足し算でもって群と考えたもの)が2方向に(たとえばx軸方向とy軸方向に)作用できます.もし,ある与えられた曲面上にどうやっても1方向にしか加法群の作用が入らないならば,それはアフィン平面とは違うと判定できます. このような手法を主に用いてアフィン代数多様体の研究をしています.

著書

複素数への招待
宮西 正宜、増田 佳代
日本評論社, 1989, pp 185.
Affine Algebraic Geometry
K. Masuda, H. Kojima, T. Kishimoto eds.
World Scientific Publ., 2013, pp 330 + xx
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