1.超好熱菌とは?
温泉や海底熱水噴出孔周辺から分離される90℃以上でも
生育できる微生物を総称して超好熱菌(Hyperthermophiles)
と呼びます。分子系統的に生物は3つのドメイン Eucarya、
Bacteria、Archaeaに分かれますが、超好熱菌の多くは
Archaeaに属します。 ArchaeaはEucaryaと同じ枝から分岐
しており、系統分類上の両者の近縁性は高いことが指摘さ
れます。超好熱菌は例外なく系統樹の根に近いところに現れ、
このことは生命が高温環境下で誕生した
ことを強く示唆しています。
Archaeaの中の超好熱菌(超好熱始原菌)は真核生物の起源に
最も近い原核生物と考えられています。超好熱菌の
ゲノムは2Mbp程度しかありません。高温環境は、エネルギー
効率に優れ、最小限の代謝コンポーネンツで生育が可能と
思われますが、ゲノムの利用効率が常温菌に比べて高いこと
も考えられます。 Fujiwara,S. et al., Gene 179, 165-170