卒業要件の簡単な説明 (合計128単位の内訳)

数学コース卒業の要件

合計128単位。その内訳は以下の通り。

  • 総合教育科目に関する学部共通の条件を満たす。
    すなわちキリスト教科目(4単位必修)、英語(12単位必修)、自由選択科目(16単位)、合計32単位を修得。
  • 専門教育科目について以下の条件を満たす。
    • 基礎科目≧56
    • コンピュータ科目≧4
    • 数学コース科目≧14
    • 基礎科目+コンピュータ科目+数学コース科目+応用数理コース科目+自由選択科目≧96

“総合教育科目の自由選択科目”と”専門教育科目の自由選択科目” は別物です。混同しないでください。

応用数理コース卒業の要件

合計128単位。その内訳は以下の通り。

  • 総合教育科目に関する学部共通の条件を満たす。
    すなわちキリスト教科目(4単位必修)、英語(12単位必修)、自由選択科目(16単位)、合計32単位を修得。
  • 専門教育科目について以下の条件を満たす。
    • 基礎科目≧56
    • コンピュータ科目≧4
    • 応用数理コース科目≧14
    • 基礎科目+コンピュータ科目+数学コース科目+応用数理コース科目+自由選択科目≧96

“総合教育科目の自由選択科目”と”専門教育科目の自由選択科目” は別物です。混同しないでください。

卒業要件の詳しい説明

総合教育科目 32単位 (理工学部の他学科と共通の部分)

キリスト教科目(4単位必修)、英語(12単位必修)、自由選択科目(16単位)を計32単位以上修得してください。
総合教育科目のうちの自由選択科目は一般教養を身につけるための科目であり、ほとんどは人文・社会系です。

専門教育科目 96単位 (数理科学科に固有の部分)

専門教育科目は基礎科目、コンピュータ科目、数学コース科目、応用数理コース科目、自由選択科目に分かれます。

基礎科目 56単位

1年生から3年生向けの数理科学(と物理を少し)の科目のうちで、後述のコンピュータ科目以外のものを基礎科目と呼びます。基礎科目を56単位以上修得して下さい。

1、2年生向け科目は(規則上は必修にはしていませんが)なるべく全ての科目を全員に勉強してもらいたいと思っています。
というのは、これらは数理科学のごく一般的な知識だからです。

3年生向けになると種類が増え、内容が詳しくなってきます。誰もが勉強すべき科目もありますが、各自の興味に合わせて科目を選んで勉強してください。
基礎科目は以下の科目です。(4)と書いてあるものは4単位(週2コマ)で、何も書いていないものは2単位(週1コマ)です。

基礎科目(1年)
数学入門演習 微分積分I(4)微分積分II(4) 線形代数I(4)線形代数II(4)

コンピュータ科目 4単位

1年生から3年生にかけてコンピュータ科目があります。
コンピュータを用いて数理科学の学習をする科目で、各2単位です。これらを計4単位以上修得して下さい。
コンピュータ演習室を授業で使っていないときは様々なソフトを自由に使って腕を磨くことができます。

コンピュータ科目
コンピュータ演習A数式処理演習I数式処理演習II 統計コンピュータ演習 シミュレーション演習

数学コース科目または応用数理コース科目 どちらか14単位

4年生向けの科目を数学コース科目と応用数理コース科目に分類します。(ただし、両方に属する科目もあります)
セミナー(ゼミ)は担当教員の専門分野あるいは学習するテーマに応じて、このどちらかに分類されます。

数学コースを卒業したい人は数学コース科目を14単位以上、応用数理コースを卒業したい人は応用数理コース科目を14単位以上修得して下さい。

自由選択科目

他学科の科目や科学技術英語、情報科学概論などの科目を専門教育科目の自由選択科目といいます。
基礎科目、コンピュータ科目、数学コース科目、応用数理コース科目、自由選択科目の合計が96単位以上になるようにしてください。

例えばコンピュータ科目の単位をたくさん修得していれば、その分だけ自由選択科目は少なくてすみます。
自由選択科目はたくさんあるので、ここではリストアップしません。
理工学部全体のカリキュラムをご覧ください。

教育 - 関西学院大学理工学部

“総合教育科目の自由選択科目”と”専門教育科目の自由選択科目” は別物です。混同しないでください。

数学入門演習

高校数学と大学数学の橋渡しのための科目です。
集合と論理は高校で一応習いますが、とってつけたような感じの扱いになっています。
特に背理法はその重要性にも関わらず、苦手な高校生が多いようです。集合と論理はしっかりと理解して、数学全般の学習に役立てるべきものです。これらの基礎を数学入門演習で身につけます。

微分積分 I・IIと基礎解析学 I・II

1年次の微分積分I、IIは計算を中心に勉強してもらいます。
高校数学との最大の違いは多変数の微分・積分、つまり偏微分と重積分を扱うところです。

2年次の基礎解析学I、IIでは微分積分を厳密に扱うためにイプシロン・デルタ論法というものを使います。
イプシロン・デルタ論法を理解するには論理的に考える力、あるいは論理的な文章を読み書きする力が必要です。
そういう力をつけるためにこそ、イプシロン・デルタなどの高等数学を学ぶと言ってもよいでしょう。

線形代数 I, II

行列とベクトルに関する学問です。
高校では行列とベクトルについては簡単に勉強しただけですが、大学ではより詳しく習います。

連立1次方程式を調べるためには行列が役立ちます。連立1次方程式は解をちょうど1個もつ素直なものばかりではなく、解を持たないものや解を無限個持つものもあります。いつこのような奇妙なことが起きるのか、詳しく学びます。

さらに行列の対角化やその一般化であるジョルダン標準形について学びます。
学年が上がれば実感するように、線形代数はさらに高度な数学の基礎になります。

行列と群

線形代数に引き続いて行列の勉強をします。
群というのは本格的な代数学の最初に習うものです。一つ間違えると群の話は抽象的かつ難解になってしまいます。
関学数理では、群が容易に理解できるように、行列という馴染み深い題材を使って学習するようにしました。

関数論入門・関数論上級と関数解析

関数論入門の続きが関数論上級です。関数解析は名前が似ていますが、別の話です。
関数論入門と関数論上級では複素数の関数を扱います。指数関数にしても三角関数にしても、複素数の世界で考える方が性質がよく判るのです。
また、いろいろな定積分を計算するのには複素数を使えば便利です。

関数解析はちょっと難しいのですが、がんばって説明してみます。
関数は三角関数とか指数関数とかそれらを足し合わせたものとか、ものすごくたくさんあります。
そこで、関数たちの集合を考えて、それを「空間」と思うことにします。

それは無限次元の空間になります。この空間の性質を調べるのが関数解析です。これだけだとチンプンカンプンかも知れませんが、1年生の科目から順に真面目に勉強して行けば関数解析が理解できる仕組みになっています。関数解析は微分方程式論にも確率論にも役立っています。

確率と確率分布・確率論 I, 確率論 II

確率は高校でも習うので、だいたいの感じはわかると思います。
ただし、大学では確率について調べるときに解析学(微分積分学)の知識を使う点で、高校とは違います。
確率の知識は統計・金融について学ぶときの基礎になります。

集合と位相

集合については無限集合が山場になります。
無限に関する驚くべき事実をたくさん学ぶでしょう (例えば有理数と整数と同じだけしかないとか、実数は有理数よりずっとたくさんあるとか)。
「位相」は「空間」というものについて深く考えるために必要な概念です。後に習う多くの分野の基礎になります。

曲線と曲面

微分積分I、II の知識を使って、曲線と曲面について学びます。
「曲がり具合」を記述するためには微分の知識が役立ちます。各点の近くでの曲がり具合に関する情報を総合(積分)すると、全体の形についての情報が得られます。

曲線(1次元)と曲面(2次元)についてしっかり勉強しておくと、多様体(n次元)に関する高度な幾何学を勉強するための準備になります。

代数入門,代数学 I・II

群・環・体などについて学びます。
なるべく初等的な題材に結び付けて説明してみます。

例えば群について学べば、あみだくじの数学的な構造が判ります。
体について学べば、「5次以上の方程式には解の公式がない」という事実を理解できます。
また、多項式全体の集合が環になっているので、環論を学べば多項式のことがよく判ります。したがって、環論は代数幾何学と密接な関係があります。

幾何学 I・II

大学レベルの幾何では高校の幾何(例えば余弦定理など)のように図に描ける図形ばかりではなく、抽象的な "図形" (位相空間、多様体) について調べます。

関学数理では、集合と位相という科目で基礎づけをしてから幾何学 I、幾何学 II、ホモロジーで幾何の勉強をします。

ルベーグ積分

面積とは何か、体積とは何かについて深く考えます。
計算法ではなく、そもそも面積・体積をどのように定義すべきかを問題とするのです。

ものすごく基礎的なところまで立ちかえってこういう考察をしっかりやっておくと、その後の議論がスムーズに進みます。
例えば、関数列 fn(x) があるとして、 fn(x) を0から1まで積分してからn→∞の極限を考えるとします。
一方で、fn(x) のn→∞の極限をとってから0から1まで積分するとします。
この2つの計算結果は一致するのでしょうか。

いつでもとはいいませんが、多くの場合、これらの値が一致することがルべーグ積分の知識から分かります。
そして、このことはいろいろな具体的な計算に役立つのです。

常微分方程式,偏微分方程式

「関数 y を微分したら sin x になる。y は何か ? 」 という問題を考えます。
要するに sin x を不定積分せよと言っているわけですが、これを y' = sin x と書くことができます。
y は未知数ならぬ未知関数で、この式を満たす y を求めよというわけです。

この例のように、未知関数とその導関数がみたす関係式を微分方程式といいます。
他の簡単な例としては y'=2y とか y"-5y'+6y= cos x などがあります。

独立変数が一つだけのものを常微分方程式といいます。独立変数がいくつもある場合、いろいろな変数で微分することができます。
このとき微分のことを偏微分と言って 「x で偏微分する」「y で偏微分する」などと言って変数を区別します。

偏微分方程式とは、未知関数 u を偏微分して出来るいろいろな関数が満たす関係式のことです。
常微分方程式も偏微分方程式も、純粋に数学的に興味深いだけでなく、自然科学・社会科学のさまざまな研究に役立つという点でも重要です。

数値解析

これまで、1つの変数の方程式の解を公式や因数分解などを使って求めたり、連立方程式の解を式の変形によって求めることはよくやってきたと思います。
大学においても方程式を解くことは重要な目的の一つとなります。

ですが、現実にある問題を解決するために出てくる方程式は、これまでと同じ手法で厳密に解こうとすると人の手におえないことが殆どです。
そのためにコンピュータを使って近似的な解を求めたり、厳密な解を求めるにしてもコンピュータに計算させるのに適した手法を考えることになります。
こういったことを実現するための数学の理論が数値解析です。

基礎物理学A, 基礎物理学B

基礎物理学Aでは古典力学について学びます。
エネルギーや運動量などについてしっかり理解すると、微分方程式論などの数理科学の勉強が楽になります。

基礎物理学Bでは電磁気学について学びます。
電磁気学は解析学、幾何学と関係が深いので、勉強しておくと数理科学がよく分かるようになります。

代数幾何学

いくつかの(複素数係数の)多項式の零点集合で表される図形について研究する学問です。
研究対象となる図形を、(多項式の集合である)多項式環などの代数的手法を駆使して研究します。

代数と幾何の融合した研究分野です。フィールズ賞(ノーベル賞に相当する数学分野の国際的賞)を受賞した日本人は、これまで3人いますが、みんな代数幾何学の人です。

数理ファイナンス

確率論や統計学の知識を駆使して金融について調べる学問です。
金融工学と大体同じです。関学数理では、大学院を含めて、数理ファイナンスに力を入れていきます。

最適化

技術上のさまざまな場面で効率を出来るだけ上げるために使われる数学的な手法です。
最適化は工学部で扱うことが多いのですが、関学数理ではこのような科目も教えることにしました。

表現論

まるで文学部みたいな科目名ですね。
表現という言葉を数学では一種独特な意味で使うのです。何か対称性をもつものがあるときに、それの性質をうまく表す影みたいなものを表現といいます。(ここではひどく漠然とした言葉づかいをしていますが、本当は厳密な定義があります。)

対称性をもつものは数学のあちこちに現れるので、表現論は代数・解析・幾何すべてに関係します。

実解析学

フーリエ解析、またはそれの発展したものです。
たくさんの三角関数(sin x, cos x, sin 2x, cos 2x, ...)を組み合わせれば任意の関数を表すことができます。

このことに基づいて、いろいろな関数の性質を詳しく調べることができます。
微分方程式や幾何学の研究にも応用できます。

ホモロジー

ホモロジーはトポロジーという分野に現れるもので、幾何学的対象を調べるための道具のひとつです。
ものすごく大ざっぱにいえば、穴の個数を数えるための道具です。

ただし、高次元のものも調べるので、各次元(1次元,2次元,3次元,4次元, ...)の穴についてそれぞれ調べます。
幾何学I、IIに続いて学習してください。

非線形問題

1次式で表されるのが線形の問題であり、1次式で表せないのが非線形問題です。
この科目では非線形微分方程式に関する問題を扱います。

数学、物理、化学で非線形問題の研究が活発になってきたので、学部生にも入門的な部分を勉強してもらうことにしました。
念のために言っておけば、線形なものが時代遅れになったのではありません。

線形が判らないと非線形は判りません。それに、線形の問題についてもまだまだ興味深い研究がなされています。
入学したらまず線形代数をしっかり勉強してください。

力学系とカオス

力学系は力学から発展したものですが、力学そのものではありません。
系の時間発展(ものごとが時間とともに変化する様子)を調べるのが力学系であり、微分方程式論にも幾何学にも関係します。
カオスは一見無秩序なように見える力学系です。

数理統計

もし株価の動きを正確に予測することができれば、今日割安な株を購入し、明日その株をより高値で売却すれば確実に利益を得ることができます。
果たして、そのようなことが可能なのでしょうか?
数理統計では、この可能性を科学的に評価する手法を学びます。

数学特別演習 I ・II と応用数理特別演習 I ・II

4年生のセミナーです。
各教員の研究室に所属して専門的な勉強をします。セミナーのことを、数学コースでは数学特別演習 I ・II、応用数理コースでは応用数理特別演習 I ・II といいます。
どちらも I と II がそれぞれ4単位ずつです。

セミナーは必修ではありませんが、おそらくほとんどの人が履修すると予想しています。
同じ研究室の仲間と一緒にがんばって勉強すれば、仲の良い友人になれるでしょう。
本を読み、判らないところはとことんまで考え抜き、他の学生の前で発表してもらいます。
研究室によってはコンピュータを使って計算することもあるでしょう。

他学科の人たちは深夜まで実験してようやく卒業できるのですから、数理の学生もセミナーの勉強はしっかりやらなければいけません。

コンピュータ演習A, 数式処理演習 I・II

コンピュータ演習Aはワード、エクセル、そしてTeX (数式交じりの文書を書くためのソフト) の使い方を学びます。

数式処理演習Iでは文字式の計算のできる数式処理ソフトの基礎的な勉強をします。
数式処理演習IIでは数式処理ソフトを使って数学的な課題に挑みます。