研究テーマ: 数理物理, 特にソリトン
ソリトンと呼ばれる上のような形の波について調べています.高校物理で習う波は1次式で表せますが,自然界にはもっと複雑な式(2次式,3次式,...)で表される式があります.
それらを非線形波動と言います.
ソリトンは非線形波動の中でも最も有名で重要なものです.
上の図のソリトンは山が2つあるから2−ソリトンと言います.2つの山の移動速度は違っていて,追い越しが起きます.ちょうど追い越している最中には2つの山が重なるので形が崩れます.
一般にはn個の山からなるn−ソリトンがあります.
ソリトン解を持つ方程式を考えます.有名なのはKdV方程式
や非線形シュレーディンガー方程式
です.ソリトン解はあくまでも特別な解であって,他にも解は無数にあります.はっきりした山のない解もたくさんあるわけです.しかし,十分時間がたてば,たいていの解はソリトン解に非常に近くなることが分かっています.そして,同様のことが非常に多くの方程式について成り立つだろうという予想があります.この予想をソリトン分解予想,Soliton
resolution conjecture と言います.
私は可積分離散非線形シュレーディンガー方程式
について,ソリトン分解予想が成り立つことを証明しました.
証明に使うのは,高校数学で言えば,微分積分・数列・行列・複素数の知識です.山根研の学生さんたちにも,これらに関係することを学習・研究してもらっています.