最終更新日:2005/03/14
理工学部

有機化学U (現代のトピックス)

春学期 週2時間 2 単位   履修基準年度 2 年

講義目的
有機化学の教員4名が、有機化学における自身の研究に関連した最近のトピックスに関して、オムニバス形式で解説する。低学年にも分かりやすいように、さらに有機化学への興味を喚起するような内容である。
各回ごとの授業内容
第1〜3回〈有機分子の多様な形〉:山田英俊
三次元構造を有する有機分子の多様な形について解説する。有機化合物の三次元構造が化学反応や生体に与える影響、分子の立体構造を決める最近の方法など様々なトピックを交えながら解説し、有機化合物を立体的に捉えるために必要な幾つかの概念を理解できるようにする。基本的なもので構わないから分子構造模型を用意することが望ましい。
第4〜6回〈環境調和型有機合成〉:田辺 陽
21世紀の現在、人間生活を強く支える有機合成化学は環境問題を踏まえた新たな局面を迎えている。すなわち、いわゆるグリーンケミストリーを考慮した有機反応の開発と合成への適用が急務である。こういった背景の元、グリーンな反応による天然ムスク・ジャスミン香料やカルバペネム抗生物質の化学合成、さらにはエステル化・スルホニル化・シリル化・アミド化などの汎用教科書反応のグリーンな合理化について述べる。

第7〜9回〈自然界の有機分子;顕著な生理活性分子の作用と合成〉:勝村成雄
化学の醍醐味の一つは、望む分子を人間の手で供給することにある。自然界に存在する作用を示す分子の中から、重要な加水分解を阻害する分子や、生体内情報伝達物質として大いに注目を集めている分子、海底での光合成に関与するカロテノイドなどに焦点をあて、これらの供給法や作用機構について、合成の基本的な考え方を分かり易く解説しながら紹介する。また研究の魅力についても紹介したい。
第10〜12回〈空気の有機化学〉:鈴木仁美
空気を原料の一つとする有機合成や、有機化合物による空気の汚染とその影響など、ふだんあまり意識することが少ない空気が、現代社会において私達の日常生活にどのように関わっているかを、低学年の学生にも分かりやすく講義する。
授業方法
オムニバス講義形式
授業中使用テキスト
〈全回〉ボルハルト・ショアー著、古賀・野依・村橋監訳『現代有機化学上・下(軽装版)』(化学同人)。
〈特に1〜3回〉丸善出版事業部のHGS分子構造模型、有機化学基本セット、またはA型セット 有機化学(学習用)。
参考文献
深澤・笛吹著『はじめて学ぶ大学の有機化学』(化学同人)。
成績評価方法・基準
授業中に指示
履修基準
化学系の学生で基礎化学Cの履修済み、ならびに有機化学 I の平行履修が望ましい。