重力理論研究室への配属を希望する人へ
重力理論研究室は、週 2回のゼミ(輪読会)を行っています。
だいたい、場の理論と宇宙物理関係の基本的なテキストを一冊ずつ、 それぞれ週一回のペースで読んでいきます。
理解できているか否かを、毎回確認しながらゼミは進むので、 その進行速度は極めてゆっくりです。 新しく登場する概念や数式を、「なぜその概念や物理量を導入する必要が あるのか」など、背景なども含めて理解せぬまま先に進むことは、 無意味だと思うからです。
理解できているか否かは、(1) 数式を追えるか、 (2) 数式の物理的意味が説明できるか、(3) 質問に答えられるか、 で判断しています。
テキストにある式変形を逐一追うのは当然の作業ですし、 もっとも“簡単”なことですので、発表担当者には、 物理的な内容だけでなく、細かな式変形についての説明も要求します。 もしできなかったとしても、その場でやってもらい(誘導はしますが) できるまで先に進みません。 つまり、登壇者は、その場で切り抜けられなければ、立ち往生することになります。
もちろん、最重要課題は「物理的な理解」であり、 数式がおぼつかなくても、「物理的に正しい直感」により先に進むことは 研究の現場では“まま”あることです。 しかし、数式はおぼつかなくても、なぜか「物理的に正しい理解」 ができるような学生は、まずいません (少なくとも、本学の学生で出会ったことはありません。 物理的に理解できている人は、数式もほぼ追えています)。
なにより、自分がもつ“ちゃちな”物理的直感を裏切るような結果が導かれ、 それを認めざるを得ないことがあるからこそ、物理は面白いのだと思います。
多くの学生にとって、このようなテキストの読み方は勝手が違うらしく、 相当のプレッシャーになるようですが、 これが「テキストを読む」という本当の意味だと思います (少なくとも、大学院進学を希望する人にとっては当然の学習法です)。
以上のことを当然のこととして要求するので、 希望者はそのつもりでいてください。