ヒトを含む哺乳類の体温は、ほとんどの場合、おおよそ37℃です。この温度はとても厳密で、たった1-2℃変化するだけで、たちまちに体調を崩してしまいます(38-39℃の高熱に苦しんだ経験のある方も多いでしょう)。しかし、どうやって身体は、1-2℃の変化を把握するのでしょうか?そもそも、どうして体温はおおよそ37℃で、時と場合によって変化するのでしょうか?体温があることは、私たちにとってどういう意味があるのでしょうか?
私たちの研究室では、この謎を解くためのヒントとして、体内に備わる「温度スイッチ」、特にmRNAの翻訳速度変化(Miyake et al., Cell Rep 2023)に着目し、研究を行います。また、体温(温度)が生命機能を制御する役割を解明するために、細胞の温度を計測する新しい仕組みや、細胞の温度を変化させる新しい仕組みの開発にも取り組みます。
今日の治療薬のほとんどは、その作用機序が明らかになっている一方で、抗うつ剤など一部の治療薬についてはいまだ謎の薬の作用メカニズムがあるとされています。また治療薬は単純に「良いもの」ではなく、思わぬ効果(副作用)をもたらし、むしろ人々の健康を損なわせることもあります。副作用を減らすことは、安全な医療を進める上で欠かせません。
この項目では、神経系の薬がどうして効くのか、あるいは、そもそも神経系疾患はどうして発症するのかを、脳の情報伝達システムの最小単位である“シナプス”に着目して明らかにします。加えて、神経系疾患等の治療薬が体の中(肝臓)で“解毒”されるしくみについても研究を行います。