確率論1(Spring 2008)
講義内容.
確率論1(初等確率論)および解析学(測度論積分論)を履修している、あるいはその内容を十分に理解している者を対象に現代的な測度論的確率論を講義する.ブラウン運動や
マルコフ過程論、伊藤理論に代表される確率解析学、それらの統計物理学や
数理ファイナンスへの応用などは、すべてこの測度論の
枠組みを用いた確率論の上に組み立てられている.特に、
- 確率収束、概収束、p次平均収束などの確率変数列の収束概念の関係を理解する事、
- Borel-Cantelliの補題など概収束を保証する条件を知って、それを使えるようになる事、
- 大数の強法則の証明を完全に理解すること、
-
- 法則収束の特性関数を用いた特徴づけと、それを用いた中心極限定理の
証明を完全に理解する事
が重要である.
今年度は,これらの最も基本的な事項について講義する.後半は,一転して
初等的な統計学について話す.確率論は確率空間が与えられた上で,その
上の確率変数のさまざまな性質を調べる学問である.一方統計学は
与えられたデータから確率空間を推定する方法論である.しかし,その
推定には大数の強法則と中心極限定理が重要な役割をはたす.この講義では
これら極限定理のひとつの応用例として統計学について講義する.
話の流れ
- 確率空間確率変数
- 確率変数列の収束概念
- Borel-Cantelliの第一法則と概収束
- 大数の強法則
- 特性関数
- 法則収束
- 中心極限定理
文献
志賀徳造 ルベーグ積分から確率論、 共立出版
尾畑伸明 確率統計要論、牧野書店
成績のつけ方
定期試験による.