解析学(Spring 2008)
講義内容.
関数解析学への入門として,また微分方程式論の現代的理論を学ぶ準備として
関数空間およびフーリエ解析の初歩を講義する.関数解析は無限次元空間における
作用素解析である.すなわち,たとえば1年生で学ぶ線形代数における行列の固有値・固有関数
についての理論の無限次元版である.ヒルベルトの積分方程式の研究に端を発し,20世紀の初めに
その重要性が認識され量子力学の基礎付けにも応用され発展した学問である.
作用素,すなわち行列を無限次元化したものが定義される関数空間として最も基本的な
ものがバナッハ空間およびヒルベルト空間である.それらの最も重要な例であるL^p 空間
(p乗可積分な関数の空間)について講義する.これらの空間が完備性をもつ
空間として定義されるために,積分としてルベーグ積分論が用いられる.
特に p=2 の時,L^pは内積が定義されるバナッハ空間であるヒルベルト空間である.
内積が入ることにより直交性が定義できて,幾何学的なイメージが描きやすい.
特に正規直交規定が入り,すべての元がその線形結合として表される.
この講義で述べるフーリエ解析は,この正規直交規定として三角関数をとり,
任意の元(関数)を三角関数を用いて表現する理論である.フーリエ解析のアイデアは
フーリエにより熱方程式の解法のために導入されて以来,数学の広い領域の基本的な
道具として用いられてきた.また電気工学の信号処理技術においてもフーリエ解析は
欠かす事のできない道具である.
この講義では,基本的な事柄を述べる.最後に,Excelを活用して,フーリエ級数や
フーリエ変換を数値的に求める方法を紹介する.出席者にも,実際にExcelを利用した
計算を実行し,レポートする事を要求する予定である.
文献
志賀徳造 ルベーグ積分から確率論共立出版
伊藤清三 ルベーグ積分入門裳華房
中村周 フーリエ解析朝倉書店
金丸隆志 Excelで学ぶ理論と技術・フーリエ変換入門Softbank
成績のつけ方
定期試験による.ただし2回の小テストおよびリポートによって最高30点まで配点する.