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日時

2017年3月7日13時~18時




場所

関西学院会館 光の間(関西学院大学西宮上ケ原キャンパス,最寄りは阪急甲東園駅あるいは仁川駅)

プログラム

13:00 - 13:10
開会の挨拶

13:10 - 13:35
セントラルドグマでは解らない機能性代謝物質の生体機能解析
―生命情報学とマルチオミックスからのアプローチ―

伊藤將弘(立命館大学生命科学部教授)
生命機能は、古くから遺伝子が転写されmRNA、さらに翻訳されタンパク質となり機能と関連するというセントラルドグマで語られてきた。2003年にヒト全ゲノム配列の解読が終了し、トランスクリプトーム、プロテオームが生命機能理解のため注目されている。一方で、セントラルドグマに含まれない代謝産物である糖鎖や脂質が、シグナル伝達や細胞間相互作用など従来わかっていた機能以外に、転写や翻訳さらにはメディエーターなどの重要な生体調節に関連することが報告された。我々は、脊索動物のホヤに注目し、カタユウレイボヤからは新規硫酸含有糖脂質、マボヤとアカボヤからは新規ウロン酸含有糖脂質の構造を決定した。脊索動物は脊椎動物の祖先にあたり、脊椎動物に存在するシアル酸含有糖脂質がホヤからは見いだされなかったことに興味を抱き、バイオインフォマティクスでゲノムワイドな手法である系統プロファイル解析を、ヒト糖転移酵素186タンパク質に対して行った。その結果、ヒト糖転移酵素は以下の4クラスに分類された。クラス1は新口動物を中心に保存される44の糖転移酵素、クラス2は後生動物を中心に保存される103の糖転移酵素、クラス3は真核生物を中心に保存される35の糖転移酵素、クラス4はその他の糖転移酵素であった。クラス特異的な糖転移酵素に基づき、系統特異的に合成される糖鎖を見出した。これらの糖鎖構造は進化において、系統特異的に獲得された機能に重要であると予測された。糖転移酵素の細胞内局在は大きく2つのグループが観察され、後生動物で保存される酵素はゴルジ体に、後生動物以外にも広く保存される酵素は小胞体に局在したことから、ゴルジ体局在の酵素は小胞体局在の酵素より進化的に新しいことが推定された。ホヤだけが新口動物の祖先が獲得した糖転移酵素を欠失したことが示唆された。

13:35 - 14:00
実験系研究室における情報科学的アプローチ
~遺伝子発現の変調によるガン進展メカニズム解明~

和久剛(同志社大学生命医科学部助教)
多くの生物は、DNAに刻まれた遺伝情報を正確に取り出すことで、その命を維持しています。特に、DNAからRNAへの転写による遺伝情報の取り出しは遺伝子発現と呼ばれ、その変調や破綻は様々な疾患の原因となります。私たちは、転写を司る因子の一つNRF3がガン細胞を増殖させることを、ヒト臨床検体・マウスモデル・培養細胞を用いて実験的に検証し明らかにしてきました。現在は、NRF3がどのようなメカニズムでガン進展を促進しているのかを解明するため、網羅的な遺伝子発現データを用いた情報科学的なアプローチを模索しています。本講演では、遺伝子発現を基盤としたガン研究の紹介を通して、実験系研究室における情報科学的なアプローチの重要性や今後の見通しを議論できればと期待しています。

14:00 - 14:25
生体信号の数理解析に基づく心身の状態評価に関する研究
吉野公三(関西学院大学理工学部准教授)
近年のウェアラブル計測技術の進歩により,人間の生体信号を生活の中で比較的簡便に計測できるようになってきた.しかし,心身の健康評価を行う上で,生体信号の時系列データから意味ある情報を抽出することは重要な研究課題として残されている.本講演では,生体信号の変動パターンを数理的に解析することで,疾患や心理状態を評価する方法の開発に関する取り組みと生理応答のシミュレーションに関する取り組みについて紹介する.

14:25 - 14:50
力学モデルに基づく循環器系疾患治療用デバイスの最適化と機能評価
田地川勉(関西大学システム理工学部准教授)
生体内の現象や疾患の診断・治療のための機器の開発に,物理(力学)が必要って想像できますか?私達の体内では,毎分6リットルの血液が血管を通じて全身に運ばれ,酸素や栄養素等を運搬しています.重さ(密度)をもった血液を運ぶには力が必要で,心臓が作り出した力を使って血液を運ぶ仕事をしています.これは,プラントや車などに取り付けられたポンプと言われる機械が水や油を運ぶのと同じ役割をしていて,生体の臓器や組織も力学法則に従って生きて働いています.我々の研究室では,生体内の現象を力学的な視点で捉え,できる限りそれを生体外で再現できるような物理モデルや数理モデルを構築することで,様々な疾患の発症メカニズムの解明や治療・診断機器の開発に役立てようとしています.本講演では,その一例として,国立循環器病研究センターと共同で開発した自己組織で作る心臓代用弁<バイオバルブ>や未破裂脳動脈瘤治療用多孔薄膜カバードステントの開発における力学屋(者)の取り組みについて紹介します.

14:50 - 16:10
ポスター発表(教員、大学院生による研究紹介)

16:10 - 16:35
数理モデルを使って生命現象に迫る
巌佐庸(九州大学システム生命科学府教授・2018年度関西学院大学着任予定)
本講演では、最初に、生態学や動物行動学での数理モデルの例をいくつか話したあと、発がんについての話題を紹介します。がんは、細胞分裂の際にゲノム複製のミスにより突然変異を起こした細胞が、周囲の細胞を押しのけ、身体中に散らばって広がる(転移)ようになるために生じます。慢性骨髄性白血病では、がん細胞を抑制する特効薬があります。しかししばらくすると薬が効かない薬剤耐性のがん細胞が出現してしまいます。診断時点ですでに薬剤耐性細胞ができている確率を計算すると、そのリスクを下げるには早期に発見することが重要であることがわかります。膵臓がんは、診断時点ですでに転移が起きていて手遅れであることが多いです。モデリングと患者のデータから、原発巣の大きさにより転移がすでに生じているリスクが計算でき、手術による原発巣切除のあとも化学療法を再開することが患者の生存月数を改善することがわかります。

16:35 - 17:00
微生物を用いた有用物質生産の数理モデルを用いた最適化
片倉啓雄(関西大学化学生命工学部教授)
微生物を用いた産業としてどのようなものをご存じでしょうか。ビールや日本酒などの酒類、チーズや漬け物などの発酵食品の製造、アミノ酸、有機酸、洗剤用の酵素などの工業原料の生産、酵母や乳酸菌そのものの生産がなされています。さらには、医薬品、化粧品、香料など原料も微生物によって製造されているものもあり、これらの市場は国内だけで年間6兆円にも上っています。微生物に早くたくさん高収率にもの造りをしてもらうには、微生物の特性を理解して、生産効率が高まる環境を整えてやる必要があります。本講演では、保湿成分として注目されているケフィランの乳酸菌による生産や酵母による組換えタンパク質生産を例に、培養環境による微生物のふるまいの変化を調べて数式モデルで表現し、生産条件を最適化するように環境条件を操作する研究を紹介します。

17:00 - 17:25
天然変性領域による転写制御の分子機構
笠原浩太(立命館大学生命科学部助教)
ゲノム上の遺伝子は多様な転写因子によって精緻に制御されている。転写因子において、特定の立体構造をとらない天然変性領域(IDR)が調節に関わる例が数多く知られているものの、その分子機構はよく分かっていない。種々の疾患において重要な転写因子であるEts1においては、DNA結合ドメインの隣にIDRが存在し、これがリン酸化を受けることでDNA結合が阻害される。本研究ではリン酸化IDRがDNA結合を阻害する分子機構を明らかにするため、独自の拡張アンサンブル法に基づく分子動力学法により解析を行った。その結果、リン酸化Serが正電荷を帯びたDNA認識ヘリックスと塩橋を形成する構造が予測された。また変異体実験的により明らかにされた重要な残基についても顕著な相互作用が認められ、実験事実をよく説明するIDRの三次元構造を得ることができた。これより、リン酸化IDRはDNA結合を競合的に阻害すると推定できる。

17:25 - 17:50
脳機能情報による瞑想状態の検討
廣安知之・日和悟(同志社大学生命医科学部)
近年、瞑想を行うことにより集中力を増加させ、ストレスを軽減する取り組みが盛んに行われている。特に、マインドフルネスは「今 この瞬間」に注意を向ける状態であり、マインドフルネス瞑想はこの状態を目指す瞑想訓練である。本研究では、基礎的な瞑想を行っている状態を対象に、脳機能状態がどのようであるかを定量化する手法を議論する。

17:50 - 18:00
閉会の挨拶

ポスター発表リスト


[P01]TD-198946の有する軟骨分化促進効果の作用メカニズムの解析
渡邊優雅子(立命館大,下畑宣行研B4)

[P02]誘導性心筋細胞(iCM)へのダイレクトリプログラミングが細胞周期と代謝に与える影響
原田恭弘(立命館大,川村晃久研M1)

[P03]線虫 C. elegans の初期胚における転写共役因子 SIN-3の機能解析
大西優斗(立命館大,伊藤將弘研B4)

[P04]系統プロファイル解析による ヒト糖加水分解酵素の機能解析
中村孝大(立命館大,伊藤將弘研B4)

[P05]たんぱく質–低分子リガンド分子間相互作用の大規模データベース解析
笠原浩太(立命館大,生命情報学科助教)

[P06]立命館大学 生命科学部 生命情報学科の紹介
伊藤將弘(立命館大,生命情報学科教授)

[P07]MRSA細胞分裂必須タンパク質の構造遷移
松村浩由(立命館大,生物工学科教授)

[P08]細菌によるカルコゲンオキシアニオン還元
三原久明(立命館大,生物工学科教授)

[P09]生物電気化学的な二酸化炭素資源化の可能性について
高木一好(立命館大,応用化学科准教授)

[P10]高圧力を利用したタンパク質フォールディング研究
加藤稔(立命館大,応用化学科教授)

[P11]同志社大学・生命医科学部の紹介
太田哲男(同志社大,生命医科学部教授)

[P12]暗算課題時の脳機能ネットワークに対する相関分析法
谷岡健資・宿久洋(和歌山県立医科大・同志社大,教員)

[P13]スナネズミの聴覚野における脳機能マッピング:コミュニケーション音声を用いた検討
嶺井大聖(同志社大,飛龍・小林研B4)

[P14]聴性誘発電位を指標としたアブラコウモリの聴力曲線の測定
今村基希(同志社大,飛龍・小林研B4)

[P15]感情生体情報研究ーウェアラブルセンサーを活用した潜在価値発見のフィールド研究の青写真ー
余語真夫(同志社大,心理学部教授)

[P16]理論計算による触媒反応開発の研究:反応機構ととスペクトルの予測
大江洋平(同志社大,生命医科学部准教授)

[P17]持続的注意に関わる脳機能のfNIRSによる検討
西澤美結(同志社大,廣安知之研B4)

[P18]トランスクリプトームデータを用いた相関解析によるガン関連遺伝子群の同定
孫宜蒙(同志社大,小林聡研B4)

[P19]協同性を示す酵素反応系がon/offスイッチングを引きおこす仕組み:新しいモデルの提唱
上野洋(同志社大,吉川・剣持研M1)

[P20]鉛直加振による自己秩序形成
鷹取慧(同志社大,吉川・剣持研D2)

[P21]微生物を用いた有用物質生産の数理モデルを用いた最適化
片倉啓雄(関西大,化学生命工学部教授)

[P22]細胞増殖モデルに基づく移植用軟骨組織の培養プロセス設計
山崎思乃(関西大,化学生命工学部助教)

[P23]力学モデルに基づく未破裂脳動脈瘤治療用多孔薄膜カバードステントの開発
靍田篤(関西大,流体工学・バイオメカニクス研究室M1)

[P24-25]低線量率放射線が与えるショウジョウバエの突然変異発生率への影響
大西智徳(関西大,量子多体物理研究室M1)(2面使用)

[P26-27]平成28年度文部科学省 私立大学研究ブランディング事業 選定 「人に届く」関大メディカルポリマーによる未来医療の創出
山本拓(関西大,先端科学技術推進機構コーディネーター)(2面使用)

[P28]大腸菌分布のパターン形成に対する数理モデルとその解析
野田佳奈子(関西学院大,大崎浩一研B3早期卒業見込)

[P29]ミツバチの造巣初期段階に対するエージェントシミュレーション
宮木優(関西学院大,大崎浩一研M1)

[P30]ヒューマンモビリティの数理と劣通信環境における情報流通のためのネットワーク制御
山崎強志(関西学院大,巳波弘佳研B4)

[P31]Raman imaging technique for medical application
国枝、森(関西学院大,佐藤英俊研B4)

[P32]数理生体医工学研究室の紹介
矢田翔梧(関西学院大,吉野公三研B4)

[P33]筋萎縮性側索硬化症ALS患者の睡眠時SpO2動態の数理解析
大橋彰華(関西学院大,吉野公三研M1)

[P34]コンピュータで解析するゲノムの進化
梶山兵庫(関西学院大,藤博幸研M1)

[P35]遺伝子に病気をオススメ~Amazonのオススメアルゴリズムで疾患予測~
里山翔吾(関西学院大,藤博幸研M1)

[P36]異なる機構を持つ同期発火の視覚刺激判別への影響
高橋利幸(関西学院大,三浦佳二研B4)

[P37]やる気細胞活性化で合格を目指せ 〜ヒトに自由意志はあるのか?〜
三浦佳二(関西学院大,生命科学科准教授)