最初に,株価予測という一見難しい事柄も,実はランダムウォーク(酔歩)を介することによって,身近なサイコロ投げの問題に帰着できることを簡単に説明します.次に,実際にサイコロを各学生に配り,各自が作った人工的な乱数とサイコロを振って実際に観測した乱数とを比較することにより,サイコロ投げという「デタラメ」の中にもある種の規則性というものが現れることを実際に確認します.さらに,サイコロの出た目が「1,2,3」ならば+1,「4,5,6」ならば-1をとることにより1次元ランダムウォークを生成し,その値がサイコロを投げた回数の平方根に近い値をとることを観察します.以上のことから,一般に乱数と呼ばれる「デタラメ」な値にも何らかの規則性が存在し,そのことを利用して株価の予測も可能なのではないか,と参加者に示唆的に示します.次に,コンピュータ上でシミュレートした株価に参加者が(架空の)お金を投資し,1年後に利益を出すことができるかどうかというゲームを行います.1回目は株価に対する事前情報無しで全くデタラメに投資をしてもらい,2回目では株価の上昇下降確率,上下変化率,期待値といった値を与え,参加者にはそれらに基づいて投資をしてもらいます.さらに,3回目では株価収益率の分散を考慮に入れ,4回目ではポートフォリオ理論を簡単に解説し,それに基づき各株価間の相関を考慮に入れて,それぞれ投資をしてもらいます.そして最後に,1回目,2回目,3回目,そして4回目の投資結果を比較してもらい,こういった特性量を知ることが株価の予測に重要であることを参加者に知ってもらいます. |