毎年,テキストを輪読する形式で,主に確率論・確率過程論の基礎を学んでいる. 今までの講義を聴講するだけとは違い, 特別演習では学生が発表の準備をして,他のゼミの仲間や指導教員にむかって「講義」を する.発表する学生の準備がいいかげんであったり,内容の理解が不十分で あったりすると,仲間達から「そこよくわからないんだけど,,」とか教員から 「その不等式どうして成立するのかもっと詳しく説明して」というような つっこみが入る.場合によっては,もう一度出直してくることを求められる こともある.このような事を1年間繰り返しているうちに,
という事を理解することになる.あるいは,人に説明しようと準備する事が,自分自身の より深い理解のために役に立つ,という事も経験するはずである.そこまできたら,あなたは 相当大きなものを手に入れた事になる.その経験は,大学院に進学する場合 のみならず,企業に就職したり教員になっても,大いに役立つはずだ. 千代延研では、毎年、年度の終りにはメンバーの全員が「卒業論文」作成をし ている.1年間勉強した事を,なんらかの 形でまとめておくことは,次のステップに踏み出す上で自信になるし, 良い記念にもなる.また,有志は物理学科の卒研発表会で発表を行ってる. (下に発表の様子を写した写真あり.) 確率論・確率過程論とは偶然性が支配する領域に法則性を見いだし、それを 解析することを目的とする学問であって、その学習にはなによりも偶然性 に対する直感的な興味や理解が不可欠である。逆に言えば、ランダムな現象 のあるところ、すべて確率論の研究対象となる。実際、現代において確率論は 物理学,生物学,工学,金融,情報理論,ゲーム理論などさまざまな分野で 重要な役割をはたしている.将来このような分野を学んでみたい人も、1年間 千代延研で確率論をきっちり学ぶことは有益であると信じている。 テキストはゼミのメンバーが確定した時点で、皆と相談して決める。あまり 難しいテキストを選んでも、表面的な発表に終始して終わってしまってはまったく セミナーをした意味がないからである.意義あるセミナーになるか否かは、 あくまでもどこまで深くテキスト読み、その内容を十分消化した上で皆の前 できちんと発表できるか、という点にある。たった一行の式を理解するために 長い時間考えたり本を調べたりといった事をどれだけ積み重ねたか、という事である。 |