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理工学部で学ぶ新入生諸君のために

理工学部長 加藤 知

新入学、おめでとうございます。大学での学び、学生生活、みな初めてのことばかりでしょう。未知と遭遇したときのこのワクワクする気持ちを忘れないでください。新鮮さがなくなって、「大学ってこんなものか」と自己規定してしまったとたんに、つまらないものに見えてきます。しかし、本当の大学も学問も固定したものではなく、生き物のように関わり方によって反応のし方が変わります。何もしないと何の反応もないのですが、少しつついてみたらムクムクと起き上がって来たりするので楽しくなってきます。ホモルーデンスである人は、遊び心、冒険心を失わないで、未知に向かって心を開いて来たのです。あなたの働きかけが、あなたの大学、あなたの理工学部を作るのです。

理工学部の研究室の中では、日々未知との出会いが起こっています。皆さんは、4年次にはこれらの研究室のひとつに配属されて最先端の研究に触れることを通して、まだ誰も知らないことを見つけ出だしたり、まだ誰も見たことのないものを創り出したりするにはどうしたらよいのか学びます。「最先端」とか「フロンティア」と言うと聞こえは良いのですが、実際そこは未開拓の「荒れ野」です。道も地図もなく、どんな驚きが潜んでいるかもわからない所なのです。落とし穴に落ちれば、二度と出られないかもしれません。しかし、この「荒れ野」を通って行かないと、本当にワクワクするものには出会えません。入学後の3年間は、この「荒れ野」を切り開くための準備期間です。

最先端の研究でまず最初にしなくてはいけないのは、「なぞ」を見つけることです。「なぞ」なんてどこにでもころがっているように思うかも知れませんが、これを見つけるのが、なかなかむずかしいのです。「なぞ」はそこにずっとあるのに、大抵見過ごされているのです。近代科学の探究が始まるまで、「ものはどうして落下するのだろう」というような疑問は、数学的に解くべき「なぞ」として成立していなかったのです。こんな単純な「なぞ」が発見されるのに何千年もかかってしまうのです。過去のさまざまな知識の蓄積がないと最先端の「なぞ」は見つけられません。また、「なぞ」を見つけてやろうという意気込みも必要です。探そうとしない人の目はふし穴なのです。

次に「なぞ」を解かなくてはならないのですが、これには道具が必要です。ホモファーベルである人は、いろいろな道具を作って来ました。先人の作った道具の活用方法を知ることは、学びの重要な要素です。ここでは、道具によって作られたもの(知識)ももちろん重要なのですが、道具そのもの(方法論)の方が大事です。また、先人の見つけたものの見方、考え方などの道具は種々雑多なのですが、これらのうち普遍性の高いものが大事です。これら普遍性の高いものが基礎と呼ばれているのです。高校では、科学の基礎を学んでいるように思われていますが、実は高校で習ったことは普遍性が足りないので本当の基礎とは言えません。理工学部では、1961年に理学部として創設されて以来、真の基礎教育に努め、それを先端的研究に生かして来ました。基礎は、普遍的で何にでも使える分、使い勝手はあまりよくありませんが、使いこなせるようになるとその威力は非常に大きいのです。基礎を重視してきた理工学部の研究の質の高さは、1件あたりの研究費獲得で国立大学も含めて全国第4位にランキングされたことにも表れています。

もうひとつ先端的研究にとって重要なことがあります。それは、人のつながりです。ただひとり荒野に立つ気概は必要ですが、支えなしに立ち続けることはできません。よき師を見つけること、よき仲間を見つけることは、皆さんの視野を広げ人生を豊かなものにします。自己を鍛えることが、自分のことだけに留まらず、人とのつながりを通して社会へとつながり、関学のスクールモットーである”Mastery for Service”の実現へと展開していくことを期待します。理工学部も、国内外の大学、研究機関と協定を結んで連携したり、企業と共同研究したり、国際的な舞台で情報発信したり、多様な形で外の世界とつながっています。大学は、社会への窓口でもあるのです。自分のために科学を学ぶことから始め、やがて世界のために働く高尚な生涯を目指していただきたいと願います。

Last Modified : 2012-03-15 10:19

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