卒業生データサイエンティストによる講演

数理科学研究センター談話会が行われました.今回のご講演者は,本大学院数理科学専攻修了生の宇都宮匡さんで,題目は「ネット閲覧行動データを用いた人の分類結果を使ったビジネスの事例」です.宇都宮さんは,現在株式会社ヴァリューズにてデータサイエンティストとして働いており,数学がビジネスにどう活かされているかを後輩に教えてあげたいということで,わざわざ東京からやってきてくれました.宇都宮さんは本学部物理学科を卒業ののち,データサイエンティストを志して,大学院本専攻・森本研究室に進まれました.森本孝之先生は経済学部を卒業されたのち,一橋大学や名古屋大学で統計科学をご研究されたのち本学科に来られたデータ解析のエキスパートです.本専攻は様々な背景を持つ学生を受け入れてはいるものの,専門を変えることは簡単なことではなかったはずです.宇都宮さんのような強い意思を持った人物が,社会に出てこのように活躍するのだなと改めて思い知らされました.20万人にも及ぶネット閲覧行動のビックデータから,例えば,企業さんがどのような集団にネット広告を出せば効率的なのか,特にこれまで見向きもしてくれなかった集団にどのように広告を出せば振り向いてくれるのかといった提案を,LDA(Latent Dirichlet Allocation)を用いたクラスタリング解析を用いて行っているという事例を紹介されました.実際のデータサイエンティストの働きぶりを学生たちも知ることができ,驚きと納得のご講演でした.「何かを解決しようと思った時に必要なのはデータです.データを分析するには必ず数式が読めないといけません」とおっしゃって,本学科学生がこれから社会に出て活躍できる道を示して,ご講演のまとめとされました.講演後には,カフェでアルバイトをしている学生が食品ロスを減らしたいとの思いでデータを集めていて,それをいかに解析するべきかといった相談にまで乗ってくださり,助言を与えておられました.